音声認識AIとは?仕組みやメリット、導入事例を解説

人手不足の解消や業務効率化の観点から多くの注目を集めているAI。導入すれば、さまざまなメリットを得られ、多くの会社が導入に踏み切っています。

ただ、AIと一言でいっても画像認識や需要予測、自然言語処理AIなど種類は複数存在し、自社の利用目的や活用する業務にあわせ、導入するAIを選択するのが重要です。

本記事では、AIの中で音声認識に関する以下の項目について詳しく解説します。

  • 音声認識AIの概要
  • 音声認識AIの技術と仕組み
  • 音声認識AIを活用するメリット
  • 音声認識AIの企業導入事例

音声認識AIについて知りたい方、音声認識AIの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。

音声認識AIとは

音声認識AIとは、人間が発した声や会話を解析しテキストに変換するAIのことです。

音声認識技術の歴史は古く、アメリカで1971年からはじめられていたといわれています。しかし、当時開発された音声認識技術は精度が低く実用化に至りませんでした。近年は機械学習や深層学習(ディープラーニング)などの技術が生み出され、AIの精度が高まりさまざまなシーンで利用されています。

音声認識AIの活用方法

音声認識AIの具体的な活用例としては、以下が挙げられます。

議事録作成

パソコンを使用し会議などの議事録を作成する際は、人手をかけて行う必要がありますが、音声認識AIを活用すれば手間を減らしミスなく作成できます。人間が作成する場合と異なり品質や正確性のバラツキも発生せず、会議終了とともに議事録が完成します。また、議事録作成だけでなく問い合わせ内容を記録のためにテキスト化するなどのシーンでも活用可能です。

音声入力

議事録作成にも類似しますが、音声入力でも活用できます。音声をただテキスト化するだけでなく、漢字変換までできるため入力が格段に速くなります。例えば、移動時間などタイピングができないシーンでも、音声入力で下書きを作成すれば時間の有効活用ができるでしょう。

通訳や翻訳

通訳や翻訳のシステム・アプリなどにも、一部音声認識AIが利用されており多言語間の通訳や翻訳が可能となっています。

異音の検知

音声認識AIが解析できる音は人間の声だけではありません。異常音を検知でき、例えば工場の製造ラインなどで機械から異常音が発せられた際にAIが検知し、トラブルを未然に防ぐのにも利用されています。

音声での機械操作

スマートスピーカーなど、音声に反応しアクションを起こす機械にも音声認識AIが活用されています。近年は、エアコンのオンオフやカーテンの開け閉めなど多くの家電に実装されており、活用している方もいるのではないでしょうか。工場や建設現場などのビジネスシーンで使用する機械にも実装され、オペレーションの手助けをしています。

ボイスボット

電話などでの問い合わせに対応するボイスボッドも、音声認識AIを活用し実現しているテクノロジーです。また、音声認識だけでなく自然言語処理AIも活用されています。

音声認識AIの技術と仕組み


音声認識AIは、発せられた声や会話などの音を一度データ化し、どの音と近いかを照合、音と単語を紐づけテキストとして出力する仕組みです。

ここからは、音声認識の仕組みに活用されている以下の技術について詳しく解説します。

  • 音響分析
  • 音響モデル
  • 発音(音声)辞書
  • 言語モデル
  • テキストを出力

音響分析

音響分析とは、マイクから入力された音声をAIが認識しやすいデータに整形するプロセスです。AIは人間と異なり雑音などが入った生の音声から内容を認識できません。AIが音声を認識するためには、音声をデジタル信号の波形に変換し音素を抽出、ノイズ除去などが必要です。

音響モデル

音響モデルとは、入力・抽出された音声データがどの音素に近いかを照合し抽出するプロセスです。音素は語の意味を区別できる音声の最小単位で、日本語の場合以下の3つがあります。

  • 母音(アイウエオ)
  • 擬音(ン)
  • 子音(23種類)

具体的には「ありがとう」の場合は「a-r-i-g-a-t-o-u」に分解し、学習した「a」「i」「u」などの、どの音素であるか照合します。

発音(音声)辞書

発音辞書は、音響モデルで照合した音素を組み合わせ単語を作るプロセスです。具体的には「a」「r」「i」「g」「a」「t」「o」「u」と抽出した音素を「arigatou」と組み合わせ、単語に変換します。

言語モデル

言語モデルとは、認識した音素や単語を組み合わせ言語・文章として成り立つようにするプロセスです。学習した日本語にもとづき、統計的な処理により出現確率が高い組み合わせにし、意味のある文章に整形します。

テキストを出力

音響分析から言語モデルまで経たデータを、最終的に自然な文章であるテキストとして出力します。ただし、テキストは必ずしも自然な文章であるとは限りません。不自然な日本語や誤字脱字があるなど、出力したテキストの精度が低い場合は、再度AIの学習を行い精度を高める必要があります。

音声認識AIを活用するメリット

音声認識AIを導入すればさまざまなメリットが得られます。

ここからは、以下の音声認識AIを活用するメリットについて詳しく解説します。

  • 業務効率化につながる
  • 音声だけで命令できる
  • 正確性を高められる

業務効率化につながる

音声認識AIを活用するメリットの1つ目は、業務効率化につながることです。

仮に人間がタイピングを行う場合、文字を入力・変換するなど多くの手間がかかります。前述の活用方法で紹介をした議事録などが良くある例で、場合によっては会議の内容を録音し、そのデータを聞きながら議事録を作成するケースも存在するでしょう。また、最終的に誤字脱字をチェックし修正することなどを計算にいれると、1時間の会議であっても議事録作成に1時間以上の時間が必要です。

音声認識AIを活用すれば、議事録の作成や文字起こしなどの作業を行う必要がなく、業務効率の向上に役立ちます。残業や休日出勤を減らすことによる人件費の削減や、別の業務に時間を使い売上の増加に貢献するなどにもつながります。

音声だけで命令できる

音声認識AIを活用するメリットの2つ目は、音声だけで命令ができることです。

通常、パソコンなどの機器を使用する場合は、マウスやキーボードを操作しなければなりません。もし、手が汚れていたり、荷物なども持っていてふさがっていたりする場合は、操作できないでしょう。音声認識AIを活用すれば、音声のみで操作ができるため手がふさがっていても活用可能です。

また、電子機器の操作は経験やスキルにより、アウトプットのスピードが異なります。タイピングなどのパソコン操作が良い例であり、タイピングスピードやショートカットキーに関する知識の有無により、入力スピードに差があります。音声認識AIを利用すれば、担当者の経験やスキル、知識に依存せずアウトプットのスピードを均一化可能です。

正確性を高められる

音声認識AIを活用するメリットの3つ目は、正確性を高められることです。

人間が行う業務は必ずミスが発生し、文字起こしやデータ入力などの単純作業も例外ではありません。ミスが発生すれば修正するための時間がかかり、より多くの労力を割くことになります。音声認識AIを利用すればより正確な作業が実現し、人間と違い集中力の低下や疲労などにより、正確性が低下することもありません。

音声認識AIの企業導入事例

音声認識AIを含め、すでに多くの企業がAIを導入しています。

総務省が公表した「令和元年版情報通信白書」によれば、国内企業のAI導入率は39%で、産業別に比較するとテクノロジー /メディア/通信産業が60%ともっとも高い割合を示しています。

ここからは、以下の企業における音声認識AIの導入事例について詳しく解説します

  • 株式会社TBSテレビ
  • 株式会社JALカード
  • 大東建託株式会社
  • 医療法人社会福祉法人仁生社 江戸川病院

株式会社TBSテレビ

出典:TBSホールディングスホームページ

TBSテレビは、関東を中心にテレビジョンの放送事業などを行う会社です。

テレビ・ラジオ業界では、日々多くの文字お越しが行われ、番組制作における大きな負担となっていました。そこで、株式会社アドバンスト・メディアが開発した「もじこ」を導入し、取材した音声や動画ファイルなど、素材の自動テキスト化を行っています。

また、もじこは誰でも直感的に操作でき、下記の機能も実装されているため、負担の大きい作業の大幅軽減に成功しました。

  • タイムコードとの連携
  • サムネイル画像の表示
  • 話者の設定
  • メモの挿入 など

ちなみに、テレビ朝日やNHKなど他のテレビ・ラジオ業界企業も、字幕作成などに音声認識AIを活用しています。

株式会社JALカード

出典:株式会社JALカードホームページ

JALカードは、日本で数少ない航空系クレジットカード会社です。

JALカードにはコールセンターがあり会話内容をテキスト化する必要がある場合、人間が音声を聞き文字起こしを行い、多くの負担がかかっていました。そこで、株式会社アドバンスト・メディアが開発した「AmiVoice>JALカードにはコールセンターがあり会話内容をテキスト化する必要がある場合、人間が音声を聞き文字起こしを行い、多くの負担がかかっていました。そこで、株式会社アドバンスト・メディアが開発した「AmiVoice Communication Suite」を導入し、会話内容をテキスト化しています。自動でテキスト化してくれるため文字起こしの業務負担を軽減でき、テキストをもとに対応に問題ないかなどを分析し、品質向上に役立てています。

大東建託株式会社

出典:大東建託株式会社ホームページ

大東建託は、賃貸管理や仲介、建物賃貸などにおける日本最大級の会社です。

顧客とオペレーターの通話内容をテキスト化するために、コンタクトセンター向け音声テキスト化サービスである「Omnis」を導入。テキスト化に必要だった時間の60%が短縮できる見込みです。テキスト化した内容の要約が店舗や営業所へ送られるため、スピーディーな対応も可能となります。また、会話中のキーワードを抽出しFAQを表示する機能が実装されているため、オペレーターの返答速度や品質の向上も期待されています。

医療法人社会福祉法人仁生社 江戸川病院

出典:医療法人社会福祉法人仁生社 江戸川病院ホームページ

医療法人社会福祉法人仁生社 江戸川病院は、さまざまな専門施設と連携し幅広い医療体制を整えている病院です。電子カルテの導入にともない、音声認識AIの「AmiVoice Ex7 Clinic/Hospital」を導入しました。パソコンに慣れていない年配の方でも、音声入力によりスムーズに電子カルテを利用できる体制を整えています。キーボードによる入力よりもスピードが早く打ち直しも少ないため、電子カルテだけでなく紹介状や保険会社の書類作成にも利用し、効率化に大きく貢献しています。

まとめ

本記事では、音声認識AIの概要や技術と仕組み、活用するメリット、企業導入事例について解説しました。

AIと一言でいってもさまざまなものがあり、音声認識AIは人間が発した声や会話を解析しテキストに変換するAIです。例えば、下記のように多種多様なシーンで活用され、業務改善や正確性の向上などを実現しています。

  • 議事録作成
  • 音声入力
  • 通訳や翻訳
  • 異音の検知
  • 音声での機械操作
  • ボイスボット など

音声をもとにした入力や文字起こしなどの業務がある会社は、音声認識AIを活用し業務改善するのがおすすめです。

最後に

クロスキャットでは、AIに関するコンサルティングサービスとPoCのサポートを⾏うサービスを提供しています。

AIの活用方法はさまざまであり、適切なAIを導入しなければ成果は上がりません。

場合によっては、多額のコストを支払ったにも関わらず、無駄になってしまうケースもあるでしょう。

  • そもそもAIって何ができるの?
  • AIでこの課題は解決できる?
  • AI導入は何からはじめたらいいの?

上記のようなささいなご相談からでも構いませんので、ご興味のある⽅はぜひお問い合わせください。

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[1] https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/01honpen.pdf(2023/08/29確認)

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