【2024最新】DXの市場規模はどれくらい?国内・世界の動向や今後の拡大予測を解説
富士キメラ総研が調査・発表したデータによれば、2020年度におけるDXの市場規模は1兆3,821億円で、2030年度には6兆5,195億円まで増加する見込みです。人手不足などの解消を目的に、デジタル技術を駆使し、業務プロセス効率化や製品・サービス・ビジネスモデルを革新するDXに取り組む企業が少なくありません。
本記事では国内外・技術別DXの市場規模や今後の予測、拡大に対応する方法について詳しく解説します。DXの市場規模について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
参照:『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2022/3/15発表 第22025号)|株式会社富士キメラ総研
参照:『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2023/3/17発表 第23032号)|株式会社富士キメラ総研
目次
【2024年度】DXの市場規模とは?
国内におけるDXの市場規模
https://www.fcr.co.jp/pr/22025.htm
富士キメラ総研が2022年3月15日に発表した、国内のDX市場に関するデータは以下の通りです。
出典:『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2022/3/15発表 第22025号)|株式会社富士キメラ総研
上記データによれば、市場規模の各産業合計は1兆3,821億円です。業界別にみると、交通・運輸がもっとも多く2,780億円、次いで戦略・基盤が2,500億円、金融が1,887億円となっています。
同社が2020年10月23日に発表した2019年度の市場規模は7,912億円でした。調査条件が異なるため単純比較はできませんが、金額のみで考えれば1年間で約1.75倍の5,909億円増加しています。
市場拡大の要因として、各企業におけるDXの重要性の高まりと企業価値向上を目的とした投資の実施が挙げられます。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響から、リモート化・自動化などオペレーション改善やWeb・スマートフォンを軸とする顧客接点改革への投資が積極的に行われました。
参照:『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる(2020/10/23発表 第20112号)|株式会社富士キメラ総研
世界におけるDXの市場規模
https://www.gii.co.jp/report/mama1328576-digital-transformation-market-by-offering.html
株式会社グローバルインフォメーションが発表した、世界におけるDXの市場規模は以下の通りです。
このデータによれば、2023年の世界におけるDXの市場規模は6,955億米ドルです。また、以下の分野における技術の継続発展で、業務の最適化や顧客体験の向上、イノベーションの推進が加速すると考えられています。
- AI
- 機械学習
- クラウドコンピューティング
- IoT
今後、膨大なデータをリアルタイムに収集・分析・活用できれば、データ主導の意思決定やサービスのパーソナライズ、効率の改善を可能にするでしょう。また、よりデジタル化が進み普及すれば、利便性向上などのニーズが生まれます。そのため、2030年には3兆1,449億米ドルになると予測しています。
DXに関する技術別の市場規模
https://www.boxsquare.jp/blog/...
https://www.cloud-for-all.com/dx/blog/...
DXにはさまざまな製品・サービスが利用されています。ここからは、DXに関する以下の技術別に市場規模を紹介します。
- AI(人工知能)
- IoT(モノのインターネット)
- クラウドコンピューティング
- サイバーセキュリティ
AI(人工知能)
AIとはArtificial Intelligenceの略で「人工知能」のことです。言葉・画像の認識や理解、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術です。すでに多くのシーンで利用されており、導入すれば以下のメリットがあります。
- 生産性の向上
- 労働力不足の解消
- ミスの抑制
- 安全性の向上
- 精度の高い分析や予測の実現
- コスト削減
独立系ITコンサルティング・調査会社であるアイ・ティ・アールの発表したデータによれば、2020年度の市場規模は前年度から19.9%増加した513億3,000万円です。総人口・労働人口の低下が著しい日本で、人手不足解消における対策の一つとして注目されており、精度向上も進んでいるため、今後も市場規模は拡大するでしょう。
参照:ITRがAI主要8市場規模推移および予測を発表|株式会社アイ・ティ・アール
IoT(モノのインターネット)
IoTとはInternet of Thingsの略で、あらゆるモノをインターネットもしくはネットワークに接続する技術のことです。近年は、自動車や家電、ロボットなど、さまざまなものに利用されています。
AIとの親和性が高く、IoTで集めたデータをAIで収集・分析が可能となりました。また、人による操作にも利用され、ロボットなどに実装されています。業務改善はもちろん、人が行うと危険な作業への活用が効果的です。
IDC Japanが調査・発表したデータによれば、2022年の国内IoT市場規模は6兆818億円で、以下の分野における成長性が確認されました。
- 農業フィールド監視
- スマート倉庫管理
- 院内クリニカルケア
- テレマティクス保険
また、労働時間規制に対応するための業務改善や、監視カメラの低価格化と画像認識AIの技術進化を背景とし、今後も需要が拡大すると予測されています。同社の予測によれば、2022年~2027年の年間平均成長率は8.6%で、2027年には市場規模が9兆1,877億円に達する見込みです。
参照:国内IoT市場は物流や医療の分野で需要が高まる ~ 国内IoT市場 産業分野別テクノロジー別予測アップデートを発表 ~|IDC Japan株式会社
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングとは、以下などのリソースをインターネット(クラウド)経由で配信することです。
- ストレージ
- 処理能力
- データベース
- ネットワーキング
- 分析
- AI
- ソフトウェア アプリケーション
企業は物理的なサーバーやネットワーク機器の購入・維持・管理が不要で、上記リソースを活用可能です。利用すれば、コスト削減はもちろん高い拡張性やパフォーマンスの実現が期待できます。
以下は総務省が調査・発表した、クラウドコンピューティングの利用状況に関するデータです。
利用している企業が毎年増加を続け、2022年は約半分の企業が全社的に利用しています。同じく総務省が発表した「情報通信白書令和4年版」によれば、2021年の国内におけるクラウドサービスの市場規模は、1兆5,879億円です。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは、デジタル化された情報がネットワークを介して行われる攻撃などにより、改ざんや漏洩することを防ぐ対策や手段のことです。デジタル化が進めば、セキュリティリスクが向上するため、サイバーセキュリティが欠かせません。
個人情報の流出や大規模なサーバーダウン、半導体・自動車工場の生産ラインの停止など、被害は世界中で起きており、毎年増加しています。万が一、個人情報などが流出すれば企業経営に大きな影響を及ぼすケースもあります。
総務省が発表したデータによれば、2021年における国内の情報セキュリティ製品市場規模は、前年より16%増の4,360億1,500万円でした。
DX市場規模は今後どうなる?
これまで、現状のDXにおける市場規模を紹介してきましたが、今後どうなるのでしょうか。ここからは、以下の着眼点でDX市場規模の今後について詳しく解説します。
- DXの必要性が高まり拡大する
- 国内の市場規模拡大は遅れている
- 最先端技術の分野で市場が伸びる
DXの必要性が高まり拡大する
https://standard-dx.com/post_blog/...
DXは企業価値向上を実現するために重要な要素で、社会課題の解決につながる取り組みとしての認識が広がっています。とくに、大手企業を中心にDX戦略の策定および推進体制の構築が進められ、全社戦略としてDXへの投資が本格化しています。また、大企業だけでなく、中小企業の中にもDXを進めるところが少なくありません。
今後、DXの必要性が高まり拡大すると予測されます。実際に以下は、富士キメラ総研が発表したデータです。2030年度には市場規模が6兆5,195億円まで増加すると予測されています。
出典:『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2023/3/17発表 第23032号)|株式会社富士キメラ総研
国内の市場規模拡大は遅れている
https://www.boxsquare.jp/blog/...
国内の市場規模拡大は遅れています。実際にIMDが発表した「世界デジタル競争力ランキング2023」において、調査対象64ヵ国の中で日本のデジタル競争力は32位でした。また、直近5年の順位は以下で、毎年順位を落としています。
年 | ランキング結果 |
---|---|
2019年 | 23位 |
2020年 | 27位 |
2021年 | 28位 |
2022年 | 29位 |
2023年 | 32位 |
最先端技術の分野で市場が伸びる
https://schoo.jp/biz/column/768...
技術別の市場規模で解説した通り、以下の最先端技術分野は市場規模が拡大し続けています。
- AI
- IoT
- クラウドコンピューティング
- サイバーセキュリティ
日本は、人手不足や2025年の崖など多くの問題を抱えており、解決には最先端技術の活用が欠かせません。ちなみに、2025年の崖とはDXを推進しなければ企業競争力が低下し、約12兆円もの経済損失が発生することです。最先端技術の活用は、日本や企業の課題解決において期待される方法の一つで、市場が拡大するでしょう。
DX市場規模の拡大に対応するには?
DX市場規模の拡大に対応するためには、以下の3つが欠かせません。
- DX人材を確保・育成する
- レガシーシステムから脱却する
- 従業員のDXリテラシーを向上する
順に解説していきます。
DX人材を確保・育成する
https://schoo.jp/biz/column/...
DXの推進には専門人材の確保や育成が重要です。DXと一言でいっても対象範囲は広く、複数のシステムやサービスが存在します。そもそも自社の課題は何で、どのシステムをいつ導入するかを検討し、適切なシステム・サービスを導入しなければ、期待する成果は得られません。自社の課題を分析し、専門知識を活かし幅広いシステムから適切なものを選定の上、導入を推進する人材が必要です。
ただ、三菱総合研究所が発表したデータでは、2023年には170万人もの専門技術人材が不足すると予測されています。外部のDX人材調達が難しくなる可能性が高く、今後は自社内で育成する取り組みも重要です。
参照:DX成功のカギはデジタル人材の育成 第2回:DX推進に求められる「デジタル人材」とは?|三菱総合研究所
レガシーシステムから脱却する
https://www.cloud-for-all.com/dx/blog/...
DX市場規模の拡大に対応するためには、レガシーシステムからの脱却も大切です。レガシーシステムとは、古くなったシステムのことです。レガシーシステムは管理・維持コストに多くのコストがかかり、性能も高くありません。また、活用方法やメンテナンスが属人化・ブラックボックス化しやすいデメリットも存在します。生産性の低下を招くだけでなく、担当者の退職により業務が滞る可能性があります。
最新の技術を活用したシステムを導入すれば、コストやリスクを抑え、業務改善が可能です。社内のレガシーシステムを整理し、最新ツールへの移行がおすすめです。
従業員のDXリテラシーを向上する
https://standard-dx.com/post_blog/...
DXは一朝一夕で完了するものではなく、またシステムは導入して終わりではありません。仮にシステムを導入しても活用・定着できなければ、その価値は発揮できないでしょう。ただ、新たな取り組みの浸透には時間がかかり、システムを導入しても活用しきれていない企業が少なくありません。
DXを適切に進めるためには、経営層の理解と従業員のDXリテラシー向上が必要です。どんなに優れているシステムでも、結局は活用する「人」に依存します。経営層がDXへの投資や推進を積極的に進めるとともに、活用する従業員のリテラシーを向上させなければなりません。
自社の実施が困難な場合は、外部パートナーの協力を得るのもおすすめです。業務への落とし込みやマニュアルの作成、リテラシー向上研修の実施などを行う企業も多くあります。
まとめ
本記事では、国内外・技術別DXの市場規模や今後の予測、拡大に対応する方法について解説しました。富士キメラ総研が調査・発表したデータによれば、2020年度におけるDXの市場規模は2020年度が1兆3,821億円で、2030年度には6兆5,195億円まで増加する見込みです。
人手不足の解消や生産性・企業競争力向上にはDXの推進が欠かせません。今後、市場規模の拡大に対応するためには、DX人材の確保・育成やレガシーシステムからの脱却、従業員のリテラシー向上が重要です。
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