【2026年最新】初心者向け、DX本でおすすめ12選
デジタルトランスフォーメーション（DX）は、中小企業を含むあらゆる企業にとって競争力維持の鍵となる重要課題です。しかし、DXを推進できる人材の不足や知識不足が深刻な障壁となっている現状があります。
本記事では、中小企業の経営層を中心としたDX初心者に向けて、2026年最新版としておすすめの書籍12冊を厳選してご紹介します。入門書から戦略書、実践的な事例集まで幅広くカバーしていますので、ぜひ自社のDX推進にお役立てください。
目次
なぜ今、経営者自らがDXを学ぶべきなのか
DXの成功には、現場任せではなく経営層自身が正しい知識を持ち、戦略的に推進することが不可欠です。ここでは、日本企業が抱えるDX推進の課題と、書籍を通じて学ぶことの意義について解説します。
日本企業が直面するDX推進の課題
総務省の調査によると、日本企業がDX推進において直面している課題として「人材不足」が67.6％、「デジタル技術の知識・リテラシー不足」が44.8％と突出しています。この数字が示すのは、多くの企業がDXの必要性を認識しながらも、実行に移せる体制が整っていないという現実です。
特に中小企業では、専門のIT部門を持たないケースも多く、経営者自身がDXについて理解していなければ、適切な投資判断や外部パートナーの選定すら困難になります。
また、DXは単なるITツールの導入ではなく、ビジネスモデルや企業文化の変革を伴う全社的な取り組みです。そのため、経営層がDXの本質を理解し、明確なビジョンを持って推進しなければ、現場の努力だけでは成果に結びつきにくいのが実情といえます。
出典：総務省「令和4年版 情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238210.html
書籍でDXを体系的に学ぶメリット
DXについて学ぶ方法は多様ですが、書籍には独自の強みがあります。まず、体系的に整理された情報を自分のペースで学べる点が挙げられます。ウェブ記事やセミナーでは断片的な情報になりがちですが、書籍は著者が構造化した知識を順序立てて吸収できます。
また、信頼性の高い情報源である点も見逃せません。出版社の編集・校閲を経た書籍は、著者の専門性や実績が担保されており、誤った情報に惑わされるリスクを軽減できます。
さらに、経営者にとっては移動時間や隙間時間を活用して学習できる点も実務上のメリットです。本記事では、こうした書籍学習の利点を最大限に活かせるよう、目的別に厳選した12冊をご紹介していきます。
DX入門・基礎編 - DXの全体像をやさしく学べる初心者向け入門書
DXの基本概念や全体像を把握するには、まず入門書から始めるのが効果的です。ここでは、図解やストーリー形式を活用し、初心者でも抵抗なく読み進められる4冊を紹介します。
『1冊目に読みたい DXの教科書（なるほど図鑑）』
荒瀬光宏 著（2022年）
タイトルが示す通り、DXを学ぶ最初の一冊として最適な定番入門書です。「DXとは何か」「なぜ必要なのか」「日本企業の現状は」「必要なデジタル技術とは」「成功事例の特徴は」「どう進めるべきか」という初心者が抱きやすい疑問に、この一冊で答えを出してくれます。
構成は見開き2ページで1トピックを解説する形式で、全80項目を収録。各ページの半分をフルカラー図解が占めており、視覚的に理解しやすい工夫が施されています。
著者の荒瀬氏はDX人材育成の専門家であり、難解な用語も平易な言葉で丁寧に説明しています。読者からは「適切な難易度と分量」「説明が丁寧で絵が多く確かに教科書のようだ」と高評価を得ており、DXの全体像を俯瞰したい方に最初に手に取っていただきたい一冊です。
『いちばんやさしい DXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略』
亀田重幸・進藤圭 著（2020年）
「いちばんやさしい教本」シリーズの一冊で、DX未経験者でも挫折せずに読み通せるよう設計された入門書です。著者2名は求人サービス企業でDX推進を担当した実務経験者であり、現場目線での解説が特徴となっています。
本書の強みは、専門用語をほぼ使わずに読みやすく書かれている点と、学んだ内容をすぐ実務で活かせる実践性にあります。DX推進の基本プロセスや必要なITツール、社内での進め方などが具体例とともに紹介されており、「自社でDXを始めるには何から手を付ければいいか」が明確になる構成です。
「DXについてまったく知識がなく、これから勉強を始めたい」という方には、最初の一歩として心強い指南書となるでしょう。
『世界一わかりやすい DX入門 GAFAな働き方を普通の日本の会社でやってみた。』
各務茂雄 著（2020年）
米国ITジャイアント（GAFA）のデジタル活用術を、日本企業でどう実践するかという独自の切り口で書かれた入門書です。著者の各務氏は企業のデジタル化支援に長年携わってきた専門家であり、GAFAの成功事例を日本企業向けに咀嚼して解説しています。
本書の特徴は、DXの基本概念だけでなく、企業文化の変革や組織再編にまで踏み込んでいる点です。単なるITツール導入の話に終わらず、「日本企業の風土に合わせてDXを進めるにはどうすべきか」という実践的な視点を提供してくれます。
図解や実例も豊富で、経営層が読んでも新たな気づきを得られる内容となっています。GAFA流の先進的な手法と日本企業の現実をつなぐ橋渡し役として、参考になる一冊です。
『マンガでわかるDX』
小峰弘雅・岡田陽介・柴山吉報 著、松尾豊 監修（2023年）
堅苦しいビジネス書に抵抗がある方には、マンガのストーリー仕立てでDXを学べる本書がおすすめです。登場人物たちの会話を通じて専門用語や概念が噛み砕いて説明されるため、スラスラと読み進められます。
内容は「DXとは何か」「DXの重要性」「成功の秘訣」「DXの始め方」など、初心者の疑問に答えるトピックを網羅。要所では専門家による解説欄も設けられており、ストーリーを楽しみながら知識も補強できる構成になっています。
監修には東大教授の松尾豊氏が名を連ねており、内容の信頼性も担保されています。社内勉強会の教材としても活用しやすく、DXの必要性を社員に伝える際にも役立つ一冊です。
DX戦略・マネジメント編 - DX推進の考え方や経営戦略が学べる書籍
DXを成功させるには、技術導入だけでなく経営層の決断や組織変革が欠かせません。ここでは、DXを経営戦略として捉え、全社的に推進するための考え方が学べる4冊を紹介します。
『DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 ～NECが挑んだ変革の記録』
小玉浩・森田隆之 著（2025年）
日本を代表する大企業NECの社内DXの全記録をまとめた、経営者必読のケーススタディです。株価が額面割れする危機から時価総額7倍以上への復活を遂げた裏側には、トップ主導のDX推進がありました。
本書では、当時のCIO（小玉氏）とCEO（森田氏）が、何から手を付け、どんなツールを使い、想定外の事態にどう対処したかを克明に記録しています。特に注目すべきは、社内の抵抗勢力をどう乗り越えたか、現場を巻き込む組織文化改革をどう進めたかといったリアルな苦労と施策が包み隠さず明かされている点です。
「自社の構造改革に着手したいが進め方がわからない」「DXに踏み切ったが社内が疲弊している」という悩みを持つ経営者にとって、具体的なヒントが得られる一冊となっています。
『非IT人材で成果が出る DX成功ルール』
永谷顕 著（2025年）
「ITに詳しい人材がいないとDXはうまくいかない」という固定観念を覆す一冊です。著者の永谷氏は、大阪の中小企業でDXを成功に導き、国内外から視察されるまでになった実績を持っています。
本書では、その経験に基づき「ルールを学べば、非IT人材でもDXで成果をあげられる」と説いています。冒頭で示される成果例は「連絡漏れゼロ」「入力ミスゼロ」「顧客対応100％実現」「年間180時間の工数削減」など具体的で、読者の期待感を高めてくれます。
「業務効率化」「生産性向上」「新たなサービス創出」といった目的ごとの進め方が明快に整理されており、ITベンダーや高度人材に頼らず現場発想でDXを進めるヒントが詰まっています。
『マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX』
黒川通彦ほか 著（2021年）
世界的コンサルティング会社マッキンゼーが、年間1200社のDX支援で培ったノウハウを惜しみなく詰め込んだ実践論です。本書の特徴は、DX成功の要諦をWhy（なぜやるのか）、What（何をやるのか）、How（どうやるのか）、そして「あなた自身に何が求められるか」という構成で体系化している点にあります。
冒頭では「単なるシステム導入をゴールにするのはやめましょう」と強調し、IT化が目的化してしまう罠への警鐘を鳴らしています。また「企業文化の変革に成功しビジネスモデルを転換できた日本企業はごく数％」という現状分析や、DX時代に必要なスキルセット（顧客志向・デザイン力、ビジネスプロセス設計力、アジャイル実行力など）も具体的に示されています。
業界ごとのDX事例も多数取り上げられており、理論と実践をバランスよく学べる経営戦略書です。
『いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する』
石角友愛 著（2021年）
シリコンバレーで活躍する戦略コンサルタントによる、DX戦略の全体像をコンパクトに学べる一冊です。日米双方のDXに通じた視点から、欧米および日本企業の豊富な事例とともに、戦略立案のフレームワークが網羅的に解説されています。
本書が提唱するのは、まず自社の強み（コア）を見極め、それをデジタル技術で強化・拡張するというアプローチです。「どの領域にデジタル投資すべきか」「変革ロードマップをどう描くか」といった実務的な指針も示されており、戦略から実行まで一貫した視点で書かれています。
約220ページとコンパクトながら内容は凝縮されており、DX戦略立案のヒントを素早く得たい経営者に適した内容となっています。
DX導入実践・事例編 - 中小企業でのDX導入ノウハウや豊富な事例が学べる書籍
DXの理論を学んだ後は、実践的なノウハウや他社事例から学ぶステップに進みましょう。ここでは、中小企業が直面する課題への対処法や、多彩な成功事例を収録した4冊を紹介します。
『デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門』
長尾一洋 著（2022年）
中小企業に特化したDX入門書で、「デジタル人材も十分な資金もない」という状況でも実践できる方法論を指南しています。著者の長尾氏は数多くの中小企業支援を手掛けた経験から、「人材や資金に余裕のない企業でもできることはたくさんある」と断言しています。
本書では、高度なITスキルや大きな費用をかけなくても実現できる「ローコストDX戦略」を解説。現場の業務課題を洗い出し、安価なクラウドサービスやノーコードツールで解決していく具体的なアプローチが示されています。
「DXに消極的な社員への対応」「外部ITベンダーとの付き合い方」といった現場目線のQ&Aも収録されており、中小企業ならではの悩みに寄り添った実践的な内容です。
『図解まるわかりDXのしくみ』
西村泰洋 著（2021年）
DXを推進するにはIT・デジタル技術への理解も欠かせませんが、専門書は敷居が高いと感じる方も多いでしょう。本書は、クラウド、AI、IoT、ビッグデータ、5GといったDX関連技術の仕組みを、豊富な図解で平易に解説した入門書です。
最大の特徴は全ページにわたり図解・イラストを多用している点で、文字だけでは理解しづらい技術の仕組みも視覚的に把握できます。章立ても「DXを理解するためのIT基礎知識」「業界別のDX事例と技術活用」といった構成になっており、技術面の理解からDXの全体像へとスムーズにつながる流れになっています。
ITに苦手意識のある経営者でも、DXを支える技術基盤の知識を無理なく習得できる一冊です。
『DX経営図鑑』
金澤一央 著（2021年）
DXの成功例から学びたい方に最適な、世界32社の事例を収録した図鑑です。本書の特徴は、各事例を「痛み（ペイン）」と「利益（ゲイン）」という視点で分析している点にあります。
たとえばNetflixの事例では、DVDレンタルからストリーミングへの転換において「顧客の待ち時間というペインを解消し、いつでも視聴できるというゲインを提供した」と分析。このように、各社がどんな課題を解決し、どんな価値を創出したかが可視化されています。
単なる事例紹介に終わらず、共通する成功要因が抽出されているため、「自社のDXでは何を解消し何を提供すべきか」という考察にも踏み込めます。図表が多くビジュアルでも理解しやすい構成です。
『DXビジネスモデル80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』
小野塚征志 著（2022年）
80社ものDX事例を収録した圧巻の事例集です。本書の特徴は、掲載事例を「場を創造するビジネス」「非効率を解消するビジネス」などビジネスの種類別にカテゴライズしている点にあり、類似パターンの比較が可能になっています。
たとえば「非効率を解消するビジネスモデル」の章では、UberやLyftが交通の非効率を解決した例や、日本の製造業でIoTにより設備保全を改善した例などが並びます。多くの具体例から学ぶことで、「DXとは要するにこういうことか」という実感が湧いてくる構成です。
80事例というボリュームは事典的な使い方も可能で、自社業界に近い部分から拾い読みするなど、アイデア発想のヒント源として活用できます。
まとめ：DX推進の第一歩は正しい知識から始まる
本記事では、DX初心者におすすめの書籍12冊を入門・戦略・実践の3つのカテゴリに分けてご紹介しました。それぞれの本から得られる知識を組み合わせれば、DX推進の道筋が見えてくるはずです。
本記事のポイントは以下の通りです。
- 日本企業のDX課題は「人材不足」「知識・リテラシー不足」が突出
- まずは入門編でDXの全体像を把握し、基礎知識を固める
- 次に戦略編でトップ主導の推進方法や非IT人材でも成果を出す方法論を学ぶ
- さらに実践編でローコストDX戦略や豊富な事例から具体的なヒントを得る
正しい知見に基づき工夫を重ねれば、DXは決して不可能ではありません。まずは興味・関心の持てる分野の一冊から手に取り、DXの基礎理解を深めてみてください。本記事が皆様のDX推進の一助となれば幸いです。
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