【成功事例で学ぶ】住民満足度を高める自治体DX推進計画策定と実現へのロードマップ

全国の自治体でDX推進が本格化しています。人口減少や職員不足が深刻化するなか、デジタル技術を活用した行政サービスの変革は避けて通れない課題となりました。本記事では、先進自治体の成功事例を交えながら、住民満足度を高めるDX推進計画の策定から実現までのロードマップを解説します。
自治体DXとは?いま推進が急務となる理由
自治体DXは単なるシステム導入ではなく、行政サービス全体を変革する取り組みです。ここでは、その定義と必要性、住民にもたらす具体的なメリットについて整理します。
自治体DXの定義
自治体DXとは、地方自治体がデジタル技術を活用して行政サービスの質や住民の利便性を高め、業務効率化と地域課題の解決を図る取り組みを指します。
重要なのは、既存システムの更新やペーパーレス化といった表面的なIT化にとどまらない点です。組織体制や業務プロセスそのものを見直し、住民目線でサービスを再設計することが求められます。
最終的なゴールは、住民のQOL(生活の質)向上と自治体への信頼性向上にあります。デジタル技術はあくまでも手段であり、目的ではありません。
なぜ今、自治体にDXが必要なのか
日本の自治体は、人口減少と職員数の減少という二重の課題に直面しています。限られた人員で従来と同等以上の行政サービスを維持するには、業務の抜本的な効率化が不可欠です。
また、国全体で行政のデジタル改革が推進されており、「誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化」の実現が求められています。住民の生活様式も変化し、平日昼間に窓口へ足を運ぶことが難しい人も増えました。
こうした社会変化に対応し、行政サービスの持続可能性を確保するために、DXは今や避けて通れない課題となっています。
DX推進で住民の暮らしはどう変わるか
DXが進めば、住民の行政手続きにかかる負担は大きく軽減されます。窓口手続きのオンライン化が実現すれば、24時間いつでも自宅から申請が可能になり、わざわざ休暇を取って役所に出向く必要がなくなります。
手続きの簡素化や対応の迅速化も期待できます。複数の窓口をたらい回しにされることなく、ワンストップで用件を済ませられる環境が整えば、住民の時間的・心理的負担は大幅に減少するでしょう。
さらに、AIチャットボットによる問い合わせ対応が導入されれば、夜間や休日でも疑問を解消できるようになります。こうした変化の積み重ねが、住民満足度の向上につながっていきます。
国が定めた自治体DX推進計画とは
総務省は2020年12月に「自治体DX推進計画」を策定し、全国の自治体が取り組むべき方針を示しました。この計画の概要と、盛り込まれた重点施策について解説します。
計画の目的と位置づけ
自治体DX推進計画は、全国の自治体が共通のビジョンに沿ってDXを進めるための道しるべとして策定されました。自治体側で構築すべき推進体制や具体的な重点施策、国による支援策などが体系的にまとめられています。
計画は毎年アップデートされ、現場のニーズや技術動向を反映した内容へと発展しています。各自治体はこの計画を踏まえて自らのDX推進計画書を策定し、国の支援策も活用しながら取り組みを進めていくことになります。
総務省は「DX推進手順書」や「事例集」なども公開しており、これらを参考にすることで、何から手を付けるべきかを明確化できる環境が整っています。
6つの重点取組事項の内容
自治体DX推進計画では、自治体が優先的に取り組むべき6つの分野が示されています。
| 重点取組事項 | 概要 |
|---|---|
| 情報システムの標準化・共通化 | 住民記録や税、福祉など17の基幹業務システムを国の標準仕様に準拠させ、自治体間のデータ連携を容易にする |
| マイナンバーカードの普及促進 | デジタル社会の基盤となるカードを全国民に普及させ、各種サービスの本人確認手段として活用する |
| 行政手続のオンライン化 | 子育て・介護・被災者支援・自動車関係の4分野31手続をマイナポータル等からオンライン申請可能にする |
| AI・RPAの利用促進 | AIチャットボットやRPAを活用し、業務効率化と住民サービス向上を両立させる |
| テレワークの推進 | 職員が時間や場所にとらわれず働ける環境を整備し、非常時の業務継続にも備える |
| セキュリティ対策の徹底 | サイバー攻撃や情報漏洩リスクに対応するため、セキュリティポリシー策定や多層防御を導入する |
これらの施策は相互に関連しており、個別ではなく総合的に推進することで効果が高まります。
あわせて取り組むべき関連施策
6つの重点施策に加え、DXと並行して進めるべき関連事項も示されています。
| 関連施策 | 概要 |
|---|---|
| 地域社会のデジタル化 | 5G等の高速通信網整備や官民連携によるデジタルサービス創出など、地域全体でデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備する |
| デジタルデバイド対策 | 高齢者やICTに不慣れな人々への配慮として、スマートフォン講習会やデジタル活用支援員の配置を進める |
| 規制・制度の見直し | 押印義務や対面規制といった「アナログ規制」を撤廃し、オンライン手続きを阻む障壁を取り除く |
これらの施策は、DXの恩恵を全ての住民に届けるための土台となるものです。特にデジタルデバイド対策を怠れば、「使える人だけが便利になる」という本末転倒な事態を招きかねません。
自治体DX推進を阻む3つの壁
DXの必要性は認識されていても、実際の推進には様々な障壁が立ちはだかります。多くの自治体が直面する代表的な課題は以下の3つです。
- 予算と人材の確保
- 住民ニーズとのミスマッチ
- 部署間の連携不足
1:予算と人材の確保
DX推進において最も深刻な課題が、専門人材と予算の不足です。特に小規模自治体では、ITスキルを持つ職員がほとんどいないケースも珍しくありません。
外部ベンダーへの委託という選択肢もありますが、財政的な制約から十分な投資ができない自治体も多く存在します。限られた予算のなかで費用対効果の高い施策を見極める判断力も求められます。
国も民間専門家の登用や研修機会の提供を推奨していますが、人材不足は一朝一夕に解消できるものではありません。各自治体の創意工夫が試される領域です。
2:住民ニーズとのミスマッチ
システムを導入しても、肝心の住民に使ってもらえなければ意味がありません。デジタル庁の調査によれば、子育て・介護関連のオンライン申請は整備率65.1%に達する一方、実際の利用率はわずか0.7%にとどまっています。
この乖離が生じる原因の一つは、供給者目線でのサービス設計です。事前のニーズ調査やユーザーテストを十分に行わず、使い勝手の悪いシステムを導入してしまうケースが後を絶ちません。
住民の年代やITリテラシーは様々です。利用者中心のUI/UX設計と、丁寧な周知広報がなければ、DXが住民満足度向上につながることは難しいでしょう。
3:部署間の連携不足
自治体組織に根強い縦割り文化も、DX推進の障壁となっています。情報システムやデータが部署ごとにバラバラで連携できない、庁内でビジョンが共有されず横展開が進まないといった問題が典型的です。
担当者の異動によってノウハウが失われるケースも多く見られます。「他部署が非協力的で進めにくい」という現場の声は、決して珍しいものではありません。
DXは庁内全体の統合的な改革であり、組織横断の推進体制と情報共有の仕組みが不可欠です。技術導入以前に、組織文化や意識の改革という難題に向き合う必要があります。
先進自治体に学ぶDX推進の4ステップ
課題を乗り越えてDXを成功させている自治体には、共通するアプローチがあります。計画策定から実行までの流れを、具体的な事例とともに4つのステップで紹介します。
- ステップ1:組織の意識改革と気運づくり
- ステップ2:推進計画の策定と即実行
- ステップ3:推進体制の構築と人材確保
- ステップ4:施策の実行と効果検証
1:組織の意識改革と気運づくり(豊中市の事例)
DX推進の第一歩は、組織内でその必要性を共有し、機運を高めることです。首長や経営層が「なぜDXが必要か」を正しく理解し、自ら旗振り役となることが成功の鍵を握ります。
大阪府豊中市では、市長自らが「とよなかデジタル・ガバメント宣言」を発出し、庁内外へ強いコミットメントを示しました。これを受けて具体的な戦略を策定し、IT企業との包括連携協定締結や職員向けDXセミナーの開催など、目に見えるアクションを次々と展開しています。
トップダウンによる明確な宣言と、職員が成功体験を積める小さな取り組みの両輪が、組織全体の意識変革を促進します。
出典:豊中市「とよなかデジタル・ガバメント宣言・戦略」
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/keikaku/degital_government/senryaku/digitalgovernment.html
2:推進計画の策定と即実行(仙台市の事例)
次のステップは、DXの全体方針を定め、具体的な推進計画を策定する段階です。ここで陥りがちなのが、計画策定に時間をかけすぎて実行が遅れるパターンです。
宮城県仙台市は「できることはすぐ実行」を合言葉に、計画策定と並行して「デジタル化ファストチャレンジ」を展開しました。押印廃止やキャッシュレス決済導入、子育て相談のオンライン化など、現場ニーズの高い施策から着手しています。
計画書に立派なビジョンを掲げるだけでなく、小さくとも具体的な成果を出しながら進めることで、計画に実効性が生まれます。
出典:仙台市「デジタル化ファストチャレンジに取り組みます」
https://www.city.sendai.jp/sesakukoho/gaiyo/shichoshitsu/kaiken/2020/11/17digital2.html
3:推進体制の構築と人材確保(磐梯町・横浜市の事例)
計画を実行に移すには、専門部署やプロジェクトチームの設置が必要です。人口約3千人の福島県磐梯町では、副町長直下に「デジタル変革戦略室」を新設しました。
同町は外部からCDO(最高デジタル責任者)を招聘し、「地域活性化起業人」や「地域おこし協力隊」の制度も活用して専門人材を確保しています。フルリモート勤務を前提とした体制により、都市部の人材が地方自治体を支援する形が実現しました。
横浜市では「デジタル職」という採用区分を設け、IT資格保有者を計画的に採用する取り組みを進めています。内部育成と外部登用を組み合わせた人材戦略が、DX推進の基盤となります。
出典:磐梯町「磐梯町デジタル変革戦略第2版」
https://www.town.bandai.fukushima.jp/site/dx/strategy_ver2.html
4:施策の実行と効果検証(湖西市・昭和村の事例)
準備が整ったら、個別施策の実行段階に入ります。重要なのは、効果を検証しながら改善を重ねる姿勢です。
静岡県湖西市では、LINE上にAIチャットボットを試験導入し、ごみの分別方法や各種証明の取り方に自動応答する仕組みを構築しました。その結果、電話問い合わせ件数が50%減少し、住民からも「夜間でも質問できて助かる」と好評を得ています。
福島県昭和村(人口約1,000人)では、職員自らローコードツールで業務アプリを開発し、294個ものアプリが稼働するまでに至りました。業務効率化によって生まれた時間を、住民対応に充てる好循環が実現しています。
いずれの事例も「スモールスタート→効果測定→全体展開」のアプローチを採用しており、この手法がDX成功の定石といえるでしょう。
出典:横浜市「横浜のDXを推進するデジタル・デザイン人材を募集します」
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/digital/2022/0425digital.html
住民満足度を高めるDX推進のポイント
ここまで、自治体DXの定義から国の推進計画、直面する課題、そして先進事例までを見てきました。住民満足度を高めるDXを実現するために、押さえておくべきポイントを整理します。
- DXは目的ではなく手段。「住民の困りごとを解決できているか」を判断基準に
- トップのコミットメントと組織横断の推進体制で縦割りの壁を突破する
- 計画策定に時間をかけすぎず、小さな成功を積み重ねて全体へ展開する
- デジタルに不慣れな住民への配慮を忘れず「誰一人取り残さない」施策を
- 効果を定量的に測定・公表し、PDCAサイクルを回し続ける
自治体DXの道のりは決して平坦ではありません。しかし、その先には「行政がもっと便利になった」「この町に住んでいて良かった」と住民に感じてもらえる未来があります。
成功している自治体に共通するのは、技術導入だけでなく、人とプロセスと文化を変革し、住民に寄り添ったサービス改革を成し遂げている点です。本記事で紹介した事例やステップを参考に、自治体の実情に合わせたDX推進を進めていただければ幸いです。
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