労働生産性向上に直結!日本企業がDXで成果を出すための「業務プロセス」と「働き方」改革

日本企業の労働生産性は長年低迷が続いており、2023年時点でOECD加盟国38カ国中29位という厳しい状況にあります。少子高齢化による労働力人口の減少が加速する中、限られた人材で成果を上げるためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)による抜本的な改革が不可欠です。本記事では、業務プロセスの効率化と働き方の変革という2つの軸から、実際に成果を上げている企業事例とともに、DXで労働生産性を向上させる具体的な方法を解説します。

日本企業が直面する労働生産性の課題

日本の労働生産性の低さは国際的に見ても深刻な水準にあり、人口減少社会において企業の存続を左右する重要課題となっています。データで見ると、その厳しい現実が浮き彫りになります。

OECD加盟国で下位に低迷する日本の生産性

公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、2023年の日本の時間当たり労働生産性は56.8ドル(約5,379円)で、OECD加盟38カ国中29位でした。この順位は主要先進国の中で最下位クラスに位置しており、2018年には21位だった順位が、コロナ禍を経て2022年に31位まで落ち込んだ後、2023年にようやく29位とわずかに改善したに過ぎません。

一人当たり(就業者1人当たり)の労働生産性も92,663ドル(約877万円)と東欧諸国と同水準にとどまり、OECD38カ国中32位という低い結果です。主要先進国と比較すると大きな差があり、この状態が続けば国際競争力の低下は避けられません。

出典:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2024」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007158.html

2040年に向けて900万人減少する労働力人口

生産性向上が喫緊の課題となっている背景には、労働力人口の急激な減少があります。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の推計では、日本の労働力人口は2022年の約6,902万人から、2030年に約6,556万人、2040年には約6,002万人まで減少する見通しです。

つまり今後20年弱で約900万人もの労働力が失われる計算となり、この減少は企業活動に甚大な影響を及ぼします。また働き方改革の推進により、年間総実労働時間も1995年度の1,912時間から2022年度には1,658時間まで減少しています。働く人の数が減り、一人あたりの労働時間も短くなる中で経済を維持・成長させるには、労働生産性を高める以外に選択肢はありません。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年度版 労働力需給の推計(速報)」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf

業務プロセス改革でDXの効果を最大化する

デジタル技術を活用して業務の進め方を根本から見直すことで、劇的な効率化が可能になります。ここでは具体的にどのような業務が効率化され、どんなツールが活用されているのかを見ていきます。

デジタル化で消える「ムダな作業」の正体

日本企業には長年、紙中心の事務処理や属人的な業務運用、複雑な社内稟議手続きなど、非効率なプロセスが数多く存在してきました。例えば紙の申請書にハンコを集める承認フローや、経験者しか分からないノウハウに頼る作業、複数の部署で重複入力されるデータ管理などです。

DXによる業務のデジタル化は、まず情報の一元管理と共有を実現します。クラウド上のデータベースを使えば、複数部門が同じ最新情報にアクセスでき、部署間の情報連携ミスが減ります。またチャットツールやグループウェアを活用すれば、場所や時間にとらわれず必要なメンバーとコミュニケーションが取れ、意思決定のスピードが上がります。情報伝達のタイムラグや齟齬を減らすことで、全体の業務効率が大きく向上するのです。

さらに重要なのが、定型業務の自動化です。データ入力・集計・照合といった繰り返しの多い作業は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などで自動処理することで大幅な時間短縮が可能になります。人手で何時間もかかっていた処理が数分で終わるケースも多く、従業員は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に時間を振り向けることができます。

RPA・AI・クラウドツールの実践的活用法

具体的なツールとして、まずRPAが幅広い企業で導入されています。RPAツールは、パソコン上の定型業務を人の代わりに自動実行するソフトウェアロボットです。経理部門での伝票入力や売上集計、営業事務での受発注データ転記、人事部門での勤怠データチェックなど、バックオフィス業務を中心に活用されています。

AI技術も業務プロセス改革に活用されています。AI-OCR(光学文字認識)により紙書類の読み取り自動化が進み、銀行や保険会社では契約書類の情報を自動データ化して入力作業を大幅短縮しています。コールセンターや社内ヘルプデスクではAIチャットボットがよくある質問に24時間対応し、担当者の対応負荷を減らしています。

また基本的な施策として、電子帳票システムやワークフローシステムの導入により、紙の申請書類や回覧書類をすべてオンライン申請・承認に切り替えた企業では、承認にかかる日数が数日から数時間に短縮され、押印や郵送の手間が無くなりました。ある中堅企業では、見積書・受発注・請求書などを一連で電子取引化した結果、月数百枚の紙処理が不要となり、担当者1人あたり月20時間以上の削減につながったという報告もあります。

働き方改革とDXで生み出す「新しい生産性」

場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現することで、従業員のパフォーマンスを最大化し、生産性向上につなげる企業が増えています。デジタル技術が支える新しい働き方の可能性を見ていきます。

テレワークで効率が上がる人が多数

2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、多くの企業でテレワークが一気に広まりました。総務省の調査では、企業のテレワーク実施率が2019年に10%程度だったものが2020年には26%に上昇し、2023年時点でも約4~5割の企業が何らかのテレワーク制度を設けています。

Office Station社が2024年に実施した従業員調査では、在宅勤務と出社勤務を比較して「在宅の方が効率的」と答えた人が46.0%で最も多く、逆に「出社の方が効率的」は18.4%に留まりました。約半数の人がテレワークによる効率向上を実感しているという結果です。

テレワークが可能になると、毎日数時間の通勤をしなくて済むため時間効率が大きく向上します。片道1時間の通勤をなくせば、往復2時間が他の業務や自己研鑽に充てられます。また自宅で集中して業務に取り組めるため、オフィスの雑音や中断に悩まされず効率が上がるという声もあります。Web会議システムやチャットツール、クラウドストレージの活用により、離れていてもコラボレーション可能となり、物理的に一緒にいる必要性が大幅に低減しました。

出典:OfficeStation「2024年テレワーク実態調査」
https://romsearch.officestation.jp

週休3日で生産性40%向上を達成した日本マイクロソフトの事例

日本マイクロソフトは2019年8月に週休3日(毎週金曜を休業日とする)の「ワークライフチョイス挑戦」を1ヶ月間実施しました。この実験では、従業員一人当たりの生産性が前年同月比で39.9%向上したと発表され、世界的に大きな話題となりました。

この実験では勤務日が週4日に減る分、会議時間の削減(30分以内で終わる会議の増加など)や業務の効率化が図られ、結果として短い週でも高い成果を上げられることが証明されました。従業員へのアンケートでも大半がポジティブな反応を示し、休みが増えても生産性は維持または向上すると回答しました。

この成果の背景には、同社が日頃からOffice365やTeamsを駆使し高度な情報共有を実践していたことがあります。デジタル技術があってこそ、短時間で成果を出せる働き方が可能になったと言えます。この実験結果は以後、海外でも週休3日制トライアルが行われるきっかけとなりました。

出典:CNN.co.jp「日本マイクロソフト、週休3日制で生産性40%増加
http://cnn.co.jp

ハイブリッドワークが企業業績を押し上げる理由

日立製作所は2016年頃から働き方改革に積極的で、時間制約のある社員でも活躍できるよう在宅勤務やサテライトオフィス勤務を推奨し、2019年には全社員を対象に原則在宅勤務可としました。さらに2022年からは全社でフレックスタイム(コアタイム廃止)を導入し、出社と在宅を組み合わせたハイブリッドワークを定着させています。

同社では社内にSNS型の情報共有基盤を導入して組織の垣根を超えたコミュニケーションを活性化したり、AIを使った業務改善提案システムなどを展開しました。その結果、各種業務のリードタイム短縮や移動時間の削減による労働時間削減効果が現れています。

日立は2020年度から3年連続で所定労働時間の95%以上を消化(つまり残業時間抑制)しつつ、売上・利益とも堅調に伸ばしています。社員アンケートでも9割以上がハイブリッド勤務に概ね満足し、「仕事と生活の両立がしやすくなった」「勤務場所に柔軟性があることで集中でき、生産性が上がった」という声が多かったとされます。これはDXを活用した働き方改革が社員のモチベーションと効率を上げ、企業業績にも好影響を及ぼした例です。

出典:日本生産性本部「第15回 働く人の意識調査」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/006970.html

DX推進の壁を突破するための実践策

DXによる業務改革や働き方改革は大きな効果を生みますが、実行過程では様々な課題に直面します。ここでは企業が実際に経験する主な課題と、それへの具体的な対処策を解説します。

現場の「抵抗」を「協力」に変えるステップ

新しいシステム導入やプロセス変更には、従来のやり方に慣れた社員から抵抗が出ることがあります。特に年配の従業員ほど「紙の方が慣れている」「今までこれで問題なかった」といった反応を示すケースが多く見られます。また現場が忙しいとDX推進プロジェクトに割く余力がなく、協力が得られにくいこともあります。

この課題を克服するには、まずトップマネジメントがDXの必要性とビジョンを明確に示し、全社的なコミットメントを打ち出すことが重要です。その上で、現場の声を積極的に取り入れた段階的導入(パイロット導入)を行います。

小さな成功事例を社内展開することで、「DXは役に立つ」という実感を醸成できます。電気設備工事を手掛ける東邦電気産業では、当初は社内でデータ化の意義を理解するのに苦労しましたが、効果を見える化して継続共有し続けた結果、次第に協力体制が整ったといいます。また研修やデジタル教育の機会を設け、社員の不安を解消することも有効です。ITリテラシーが高くない社員にも丁寧に使い方を教え、「困ったらサポートする」という体制を整えておくことで、安心して変化を受け入れられるようになります。

出典:経済産業省「DXセレクション2024」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/

IT導入補助金で初期コストを半減させる方法

DXにはシステム導入費用や機器購入費、コンサル費用などコストが伴います。特に中小企業にとって数百万円以上のIT投資は重荷になりがちです。しかし国や自治体が提供する補助金・助成金を積極的に活用すれば、費用負担を大幅に軽減できます。

代表的なものとしてIT導入補助金があります。これは中小企業・小規模事業者等の業務効率化やDX推進に資するITツール(ソフトウェアやクラウドサービス等)の導入費用を補助する制度で、会計ソフトや在庫管理システム、RPAツール、グループウェア等の導入費用の一部が補助されます。補助率は通常1/2~2/3程度で、実質的に初期コストを半減させることが可能です。

また東京都では「テレワーク促進助成金」を設け、中小企業がテレワーク用の機器やソフトを導入する費用を助成しています。一般コースで1企業あたり上限250万円(補助率1/2)まで、在宅勤務用PCやVPN設備、グループウェア導入費用などが補助対象となりました。

さらにリースやサブスクリプション型サービスを活用し、初期費用を平準化するのも有効です。クラウドサービスなら自社サーバーを持つより低コストで始められます。ROI(投資対効果)の試算を事前に行い、生産性向上による人件費削減や売上増などメリットを数値化しておくと、投資判断がしやすくなります。

出典:IT導入補助金2025公式サイト
https://it-shien.smrj.go.jp

セキュリティ対策と社員教育の両立

業務をデジタル化すると、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクも増します。特にクラウドサービス利用やテレワーク拡大に伴い、従来社内だけで閉じていた情報が社外からアクセス可能になるため、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

基本は情報セキュリティポリシーの整備と多層防御です。具体的には、権限管理を徹底し必要な人だけが必要なデータにアクセスできる設定をする、通信の暗号化(VPNやSSL)を行う、多要素認証や定期的なパスワード変更で不正アクセスを防ぐ、端末にはウイルス対策ソフトやMDM(モバイルデバイス管理)を導入するといった対策があります。

同時に社員向けにセキュリティ教育を行い、怪しいメールを開かない、USBメモリを不用意に挿さないなど基本ルールを周知します。万一事故が起きた際のインシデント対応手順も決めておきます。近年は中小企業向けに安価で使いやすいセキュリティサービスも出てきているため、必要な投資と割り切って導入することが、結果的に安心してDXを推進することにつながります。

技術的な対策と人的な教育の両面から取り組むことで、セキュリティリスクを最小限に抑えながらDXを進めることができます。

DXで労働生産性を高めるために今すぐできること

日本企業の労働生産性を底上げするには、業務プロセスのデジタル化と働き方の柔軟化を同時に進めることが重要です。まずは自社の業務を棚卸しし、どこに非効率があるのかを洗い出すことから始めましょう。

そして何より大切なのは、経営層が明確なビジョンを示し、DX推進を経営課題として位置づけることです。現場任せにせず、トップダウンとボトムアップの両面からDXを推進する体制を整えることで、真の労働生産性向上が実現できます。人口減少が本格化する今こそ、DXによる変革に踏み出す時です。

解析人材育成

リテラシー講座

DX推進を内製化する上で最初の壁となる「AI・DX人材の不足」。オンライン化が前提となり、職種・役職問わず、全社員にデジタルリテラシーが求められています。講座受講により社内のリテラシーを高め、さらに現場視点のアイデアを吸い上げ収益化につなげます

簡易企業診断サービス

本格的な企業診断を通じて、企業の現状を把握できます。実態を踏まえた本質的なDX構想案の策定ができます。
※一部短期間で簡易的な企業診断(無料)もご用意

収集

CC-BizMate

勤怠管理クラウドサービスCC-BizMateは出退勤管理・勤怠管理・労務管理・工数管理・プロジェクト管理・在宅勤務・テレワーク勤務など「人事総務部門に寄り添う」サービスです!

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CC-Smartは、カラ予約の防止、議事録の録音、きめ細やかな通知機能など「会議のムダ」 「会議室のムダ」を省くことで生産性向上をサポートする会議予約システムです。

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