DX推進指標の診断後に進めるべき「社内体制・人材育成」の変革プロセスと失敗を避けるポイント

AI生産管理におけるBIとAIの連携イメージ

DX推進指標で自己診断を終えたものの、出てきた成熟度をどう扱えばよいか分からない。そんな声をよく耳にします。

2026年2月の改訂で、この指標はデジタルガバナンス・コード3.0に沿った構成へと生まれ変わりました。組織づくりとデジタル人材の育成・確保は、DX戦略を推進する柱として位置づけられています。

診断結果を社内体制と人材育成の変革につなげる進め方を、つまずきやすい落とし穴とあわせて整理します。

DX推進指標の診断結果を分析しアクションにつなげるには

IPAはDX推進指標について、現状を知り、ベンチマークで自社の位置づけを確かめ、アクションにつなげ、進捗を管理するという流れを示しています。自己診断はその入口にすぎません。

自己診断|現在地と3年後の目標を関係者で共有する

DX推進指標は、経済産業省が2019年7月に策定した自己診断ツールです。2026年2月13日には、デジタルガバナンス・コード3.0に基づき設問と成熟度レベルの体系が見直されました。策定以来、初の大幅な改訂にあたります。

フォーマットでは、現在のレベルと3年後に目標とするレベルを、それぞれ0から5までの6段階で評価します。最上位のレベル5は、個社の取り組みを超えて社会に価値を生み出している水準です。

IPAは、経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門などの関係者が集まり、議論しながら記入することを勧めています。ただし、いきなり全員で一枚を埋めようとすると議論が発散しがちです。各部門がまず個別に回答を用意し、それを持ち寄ってワークショップ形式で突き合わせる流れが現実的でしょう。回答が割れた設問こそ、認識のずれが表れた場所として掘り下げる価値があります。

提出方法はExcelからWebフォームへ移行する予定です。最新の案内をIPAの公式サイトで確認してから作業を進めてください。

出典:経済産業省「『DX推進指標』を改訂しました」

分析|点数ではなく判断根拠と認識のずれを読む

診断結果を受け取ったとき、平均値の上下だけを追いかけると打ち手を見誤ります。同じレベル2でも、研修制度そのものがない会社と、制度はあるのに利用者が一部にとどまる会社では、必要な対策がまるで違うからです。

役立つのが、そのレベルを選んだ理由の記述です。「データ分析職だけスキルマップを整備済み」という記録が残っていれば、対象職種を広げるという次の一手が自然に浮かび上がります。

関係者の回答が食い違った項目にも注目してください。経営層は戦略が浸透していると考え、現場は戦略を説明できない。この落差そのものが、平均点より雄弁に課題を語ります。

自己診断結果をIPAに提出すると、他社や業界と比べられるベンチマークレポートを受け取れます。これも順位を競う道具ではありません。他社より組織は高いのに人材が低いなら、箱はできたが中身が伴っていないという仮説が立ちます。

アクション|組織と人材の重点課題を絞り込む

分析の次は、改善する領域の絞り込みです。IPAも、重点分野を決めて推進することをポイントに挙げています。点数の低い項目から機械的に着手するのではなく、自社のDX戦略の実現を最も妨げている項目を選んでください。

たとえば戦略の成熟度が3で、組織づくりと人材が1という結果だったとします。この場合は新しい戦略を足すより、すでにある戦略を実行できる体制と人材を整えるほうが先になるでしょう。

デジタルガバナンス・コード3.0では、DX戦略の推進が「組織づくり」「デジタル人材の育成・確保」「ITシステム・サイバーセキュリティ」の三つに分けて示されています。改訂後のDX推進指標もこの構成を踏まえており、組織と人材はそれぞれ独立した領域として問われます。

課題を同時に広げすぎず、半年で取り組むテーマを二つか三つに絞ると実行しやすくなります。

進捗管理|KPIを置いて1年後に再診断する

改善活動は、指標がなければ続きません。IPAは、DX推進指標による診断は年次で継続し、より短いサイクルで確認したい指標は日常のマネジメントサイクルに組み込むと効果的だとしています。

人材育成の指標を設計するときは、投じた予算や時間、受講者数といった活動量で終わらせないでください。認定人材の数やプロジェクトの件数、さらに業務時間の削減や売上といった事業成果まで、段階を分けて置きます。

特に有効なのが、研修修了者のうち実際にDX案件へ配置された人の割合です。修了者が二百人いても担当者が三十人なら、育成と人材配置が分断されている可能性があります。

IPAの利用者アンケートでは、9割以上の企業が自社の推進状況を把握することで課題への気付きを得たと答えました。その気付きを行動に変えられたかどうかを、一年後の再診断で確かめましょう。

DX戦略を実行できる社内体制に変えるには

組織づくりの評価が低いとき、DX推進室の人員を増やすだけでは状況が動きません。問われているのは組織図の形ではなく、戦略を実行できる能力が組織に備わり、現場で使われているかどうかです。

体制づくりはまず意思決定の権限から決める

CDOやDX担当役員を任命しても、投資判断に関われず、事業部門へ働きかける立場もなければ、肩書きだけが残ります。

先に決めたいのは、役職名ではなく意思決定の中身です。DX案件を採択する権限、予算を配分する権限、見込みの薄い取り組みを止める権限、人材を割り当てる権限、データの利用ルールを定める権限。それぞれを誰が持つのかを文書にします。

主要なテーマごとに、実行する人、最終責任を負う人、相談する部門、結果を共有する範囲を整理する方法もあります。形式そのものより、結局誰が決めるのかを曖昧にしない点が肝心です。

権限がはっきりして初めて、部門をまたぐ案件が滞らずに進み始めます。自社では、どの案件を誰の判断で止められるでしょうか。

DX推進部門と事業部門で体制の役割を分ける

推進体制は、中央に集約する形、事業部門に委ねる形、両者を組み合わせる形に大きく分かれます。立ち上げ期は集約が機能しやすい反面、現場との距離が開くと業務課題を拾えなくなります。

一定の規模がある会社なら、中央組織が全社戦略やデータ・AI基盤、ガバナンス、人材育成、標準づくりを担い、事業部門がユースケースの設定と業務変革、現場定着、成果責任を持つ分担が現実的でしょう。

DXは商品開発から営業、物流、管理業務にまで及びます。事業部門がDXの発注者ではなく当事者になる状態を目指してください。

各部門にDXリーダーを置くなら、任命だけで終わらせてはいけません。活動時間や目標、上司の支援まで併せて用意しなければ、名ばかりの役職が増えるだけです。

管理職と人事部門を体制の一員として組み込む

社員の働き方を日々決めているのは、部長や課長といった管理職です。研修で学んだ社員が業務を変えようとしても、通常業務を優先するよう指示されれば動きは止まります。

デジタルガバナンス・コード3.0でも、経営者を含む役員・管理職の意識改革やキャリア形成支援の重要性が強調されました。管理職には、変革のマネジメントやデータにもとづく意思決定、部下の学習支援を学ぶ機会が要ります。部下のDX活動を支えたかどうかを評価に含める方法も検討できます。

もう一つ欠かせないのが人事部門の参画です。人材要件の定義、スキルの可視化、配置、異動、採用、評価、処遇は、いずれも人事制度と結びついています。

DX人材戦略をDX部門だけで描かず、人事部門との共同プロジェクトとして進めると、制度として定着しやすくなります。

DX人材育成を研修だけで終わらせないためには

改訂後のDX推進指標では、求めるスキルの明確化から可視化、配置、評価、処遇までが一つながりの問いとして扱われています。研修の実施回数を管理するだけでは、想定された状態に届きません。

育成の前に必要な役割・スキル・人数を決める

DXが必要だから研修を探す。この順番では施策が手段になってしまいます。先に決めるのは経営課題とDX戦略、そこから逆算した役割と人数です。

IPAが日本・米国・ドイツを比較した調査では、DXを推進する人材が不足していると答えた日本企業が85.1%に達しました。ただし、採用市場だけに原因を求めるのは早計です。そもそも何が足りないのかを定義できていない会社も少なくありません。

「DX人材を百人育成」という目標では、誰を採り、誰を育てるのか決まりません。どの役割を何人確保するのかまで具体化してください。

確保の手段も育成に限らないはずです。中途採用、社内異動、外部パートナーの活用を組み合わせ、自社に残す能力と外部に委ねる能力を切り分けます。顧客理解や業務理解、投資判断のように競争力へ直結する部分は、社内に蓄積したい領域です。

出典:IPA「DX動向2025」

育成の指針にデジタルスキル標準Ver.2.0を使う

人材像をゼロから定義する負担は小さくありません。そこで参照したいのが、経済産業省とIPAによるデジタルスキル標準です。

この標準は、すべてのビジネスパーソンを対象とするDXリテラシー標準と、専門人材を対象とするDX推進スキル標準の二層でできています。全社員を専門家にする必要はなく、層を分けて考える点が要点です。

2026年4月16日に公開されたVer.2.0では、DX推進スキル標準の人材類型にデータマネジメントが加わり、従来の5類型から6類型になりました。AI活用が広がるほど、その土台となるデータの整備や管理を担う人材の重みが増しているためです。

ただし、標準に並ぶ職種をそのまま採用計画に写すのは避けましょう。自社の変革テーマから必要な役割を導き、標準は社内の共通言語として使うのが本来の姿です。

出典:IPA「プレス発表 デジタルスキル標準ver.2.0を公開」

育成した人材に実践の場と評価制度を用意する

学んだ知識は、使う場がなければ定着しません。研修を設計する段階で、修了後にどの案件へ参加してもらうかまで決めてください。

大がかりな案件を待つ必要はないでしょう。日々の集計作業の自動化や問い合わせの分類、在庫の予測といった身近なテーマでも、課題設定からデータ整備、実装、効果測定までの流れを一通り経験できます。

その際は活動時間を正式な業務として確保します。空いた時間で取り組むよう促すだけでは、制度があっても使われません。

評価の仕組みも見直しが要ります。先の日米独比較調査では、DXを推進する人材の評価基準がないと答えた日本企業が75.7%を占め、米国の10.0%、ドイツの18.9%を大きく上回りました。検証の結果として事業化を見送った取り組みも、学びとして評価する視点を持ちたいところです。

出典:IPA「DX動向2025」

DX推進指標の活用で避けたい失敗

診断を起点とした変革には、つまずき方に共通点があります。あらかじめ知っておけば、施策が空回りする事態を避けられます。

成熟度レベルを上げること自体が目的になる

来年は平均値を上げよう。一見すると分かりやすい目標ですが、DX推進指標は企業同士を採点する試験ではありません。

成熟度は、経営や組織の能力が高まった結果として表れる数値です。点数を直接動かそうとすれば、実態を伴わない施策が並びかねません。

見るべきは、なぜその水準にとどまっているのかという理由です。制度がないのか、あっても使われていないのか、使われていても成果に結びついていないのか。原因によって必要な打ち手は変わります。

診断の目的は、関係者が現状と課題への認識をそろえ、次の行動につなげることにあります。この前提を最初に共有しておきましょう。

研修を受けた社員が元の業務に戻ってしまう

人材育成で最も起こりやすいのが、学習と仕事が切り離された状態です。データ分析を学んだ社員が翌日から従来どおりの業務に戻り、半年間まったく使わなければ、スキルは失われていきます。

生成AIの研修を実施しても、社内で安全に使える環境がなければ試す場がありません。人材育成とデータ基盤やセキュリティの整備は、同じ時間軸で進める必要があります。

育てた人材が活躍できるかどうかは、組織側の設計にかかっています。組織をつくってから人を育てる、あるいは人を育ててから組織をつくるという直線的な順序では、どちらかが手持ち無沙汰になってしまいます。

体制の設計と人材戦略は、並行して動かす前提で計画を立ててください。

一度診断しただけで次につながらない

DX推進指標は、一度実施して終わる仕組みではありません。技術も人材市場も動きが速く、2026年には指標そのものとデジタルスキル標準の双方が改訂されました。

現状把握、分析、アクション、進捗管理を回したうえで、翌年また診断する。この循環をつくれるかどうかが分かれ目になります。そのとき比べるのは点数だけではありません。

前年は必要な人材像が不明確だったが、今年は定義が済み、社員のスキルを可視化し、実際にDX案件へ配置できている。こうした変化こそが、組織能力の向上を示す証拠です。

診断を年中行事にせず、前回のアクションがどこまで進んだかを確かめる場として位置づけましょう。

診断結果を組織と人材の変革につなげよう

DX推進指標は自社に点数をつける制度ではなく、変革の起点をつくるための診断ツールです。2026年の改訂で組織づくりとデジタル人材の育成・確保が柱に据えられたことは、DXが技術導入だけで完結しないことを示しています。

  • 診断のあとは、分析、アクション、進捗管理まで一連の流れとして扱う
  • 平均点ではなく判断根拠と関係者の認識のずれから重点課題を絞り込む
  • 体制づくりでは役職名より意思決定の権限を先に定める
  • 必要な役割とスキル、人数を決めてから育成や採用の手段を選ぶ
  • デジタルスキル標準Ver.2.0の6類型を人材定義の共通言語として使う
  • 研修には実践の場と評価制度をセットで用意する
  • 一年後の再診断では、点数ではなく組織能力の変化を確かめる

診断で見えた課題を、戦略から組織能力、権限、人材、育成、配置、評価、事業成果まで一本の線でつなげられれば、成熟度は後からついてきます。まずは自社の判断根拠を読み返すところから始めてみてください。

解析人材育成

リテラシー講座

DX推進を内製化する上で最初の壁となる「AI・DX人材の不足」。オンライン化が前提となり、職種・役職問わず、全社員にデジタルリテラシーが求められています。講座受講により社内のリテラシーを高め、さらに現場視点のアイデアを吸い上げ収益化につなげます

簡易企業診断サービス

本格的な企業診断を通じて、企業の現状を把握できます。実態を踏まえた本質的なDX構想案の策定ができます。
※一部短期間で簡易的な企業診断(無料)もご用意

収集

CC-BizMate

勤怠管理クラウドサービスCC-BizMateは出退勤管理・勤怠管理・労務管理・工数管理・プロジェクト管理・在宅勤務・テレワーク勤務など「人事総務部門に寄り添う」サービスです!

CC-Smart

CC-Smartは、カラ予約の防止、議事録の録音、きめ細やかな通知機能など「会議のムダ」 「会議室のムダ」を省くことで生産性向上をサポートする会議予約システムです。

WebNESTEE STAMP

WebNESTEE STAMPは、書式にこだわらない出社せずにハンコ付き書類が作れるサービスです。事前に書式を準備する必要がなく、Excel、PDF、画像データを指定経路に回覧し、承認ができます。手続きや承認に時間や余計な手間をかけず、本来の仕事に集中できます。

BIコンサルティングサービス

データ活用に向けた各種サービス、支援ツールの提供を行います。
部門別でのBIの活用方法などをご提供します。

groWiz

MS PowerPlatformサービスを用いたgroWizスタートアップ、アイデアサポート、オーダーメイド、テクニカルサポート等、ニーズに合わせたご提案をいたします。

OCVS構築支援サービス

クラウド環境向けに大幅な設計変更をすることなくクラウドリフトを実現し、Oracle Cloud Infrastructure上でこれまでと同じ操作方法のまま VMware 製品のツールを利用することができます。オンプレミスで運用しているVMwareの仮想サーバーをそのままOracle Cloud環境へ移行することも可能です。

活用・分析

CC-Dash AI

CC-Dashは、AI技術を活用したコンサルティングサービスとPoCサービスをご提供しています。
お客様のビジネス課題を解決するために、専門の技術チームがヒアリングからPoCまでの一連のプロセスをサポートいたします。

小売業向け CC-Dash AI

数多くのデータに数理的な処理を用いることで、将来の需要量、在庫量の予測が可能です。
小売業にAIを導入することにより、労働者不足問題の解消、属人化の防止、適正な在庫管理などに役立てられます。

BIコンサルティングサービス

データ活用に向けた各種サービス、支援ツールの提供を行います。
部門別でのBIの活用方法などをご提供します。

Data Knowledge

Data Knowledgeは、30年に渡り使用されている国産のBIツールです。多彩な分析レポートで「経営の見える化」を促進し、分析ノウハウ共有機能で全社の分析レベルをアップ。データ・リテラシーの向上につながります。

BIスターターパック
by Tableau / by Oracle Analytics Cloud

Tableau は、クラウドベースの分析プラットフォームです。誰とでもデータからの発見を共有することができます。同僚やお客様を Tableau Cloud に招待し、インタラクティブなビジュアライゼーションと正確なデータを共有すれば、潜んでいるチャンスを探し出すこともできます。

CC-MicView

クラウドに経営ダッシュボードを構築し、自社およびグループ各社の経営情報を見える化。リアルタイムデータ活用によるスピード経営の実現と会議資料作成時間大幅削減!

ADB移行支援サービス

Oracle Autonomous Database(ADB)とはオラクル社の提供している高性能かつ運用負荷を限りなく軽減する自律型のデータベース・クラウド・サービスです。移行をすることで、利用時間に応じた課金体系で優れたコスト・パフォーマンスを実現します。

groWiz

リーズナブルなBIツール「PowerBI」による活用を中心としてお客さまの環境に合わせた柔軟なご提案が可能です。

保守

CC-Dashの保守サービス

BI導入後、ツールを最大限に活用することをサポートします。約25年の実績で安心と信頼の“保守サービス”。
お客様のビジネス状況に応じたQA対応~システム運用まで幅広くトータルサポートを提供し、社内のエンジニアの稼働時間を年間330時間削減!

BIサポート定額オプションサービス

せっかくBIツールを導入してもうまく活用できない。そんな方のためにユーザー利用状況分析レポート、システムヘルスチェックレポートなどを通して、安定したシステム活用を目指すサービスです

DX推進提供サービス各バナー

新着記事

人気記事

DX推進提供サービス各バナー

カテゴリー

人気タグ